ディスインターミディエーション=銀行が資金仲介機能を失う事

ディスインターミディエーションとは、端的にいえば銀行がその資金仲介機能をうしなうことである。銀行や貯蓄機関はその機能からしばしばインターミディアリーと総称される。それは預金・貸出しという金融媒介機能を営んでいるからである。原信教授の定義によると「アメリカの金融市場での実勢金利が預金の規制金利の上限を上回ると、預金者はより有利な運用をもとめて預金を引き出し、長短期の債券・株式CPなどに乗り換えるようになる。すなわち、資金の供給者が仲介役である金融機関から資金を引き出し、直接資金の需要者が発行する証券に投資すること」である。

すでに米国では、一九六六年、六九年、七四年と預金流出が顕在化し、ごとに一九七九年一○月、FRBがインフレ克服のため、従来の金利調整政策から市場供給資金増加率の一定圏内維持政策に金融政策を転換して以来、一挙に市場金利は政策的抑制がきかなくなり、八〇〜八一年は史上最高水準に達した。このため、銀行・貯蓄金融機関は前述のようにCD、NOW勘定、MMC、ASC、TTS、RSU、シェアドラフト、ATS、SSC、スイープ勘定(勘定間の振替を許す預金口座)などを案出して預金流出に対応したが、MMMF、CMA等の証券金融商品にいずれも名を成さしめるのみであった。そしてついに「一九八〇年金融制度改革法」の制定により金利規制が八三年一〇月をもって完全自由化されるにいたった。