日本の航空会社の概要とサービス

日本航空(JAL)グループ

戦後の日本の民間航空をリードしてきた日本航空は、一九五一年に国の資本も加えて設立された国策会社である。日本を代表するエアラインとして、国際線と国内幹線を運航してきた。八七年に民営化。

国際線の子会社に、「ニつの中国」を認めない中国に配慮して台湾専門のエアラインとして設立された日本アジア航空(JAA)、低コストのチャーター航空として設立され二〇〇〇年に定期航空会社に格上げされたJALウェイズ(JAZ)がある。欧米との長距離ビジネス路線と中国路線を日航本体が、東南アジアは日本アジア航空が、アジア太平洋地域のリゾート路線はTJALウェイズが担当する。

国内線には、低コスト運航を目指して設立されたJALエクスプレス、沖縄のローカル航空として出発した日本トランスオーシャン航空(JTA)、瀬戸内のコミューター航空のテコ入れから始まったジェイエアがある。さらに沖縄には琉球エアコミューターもある。

独占企業にあぐらをかいているうちにできあがってしまった高コスト体質を分社化で正し、国際競争力を回復するとともに、シェアの低い国内線でのシェア獲得を目指している。

国内は五〇人乗りまでの市場はジェイエア、二〇〇人乗りまではJALエクスプレス、それ以上の市場は本体、と役割分担しながら、規模に見合った航空会社グループで主導権を握ろうという戦略だ。

全日空(ANA)グループ

全日本空輸は、日ペリ空輸と極東航空が一九五六年に合併した民間企業。日本の国内航空会社として、長年国内線にしばられていたが、八五年の新航空政策で国際線に進出し、急速に国際線の展開を図った。国内線のシェアではガリバー的存在だが、自由化によってシェアの低下を警戒している。成田の発着枠が少ないことがネックになっており、羽田空港の国際化に期待をかける。

子会社の日本貨物航空(NCA)は、海運各社とともに設立した国際貨物を運ぶエアライン。また、二〇〇一年から低コストの国際航空会社を目指すエアージャパン(AJX)が関西空港を本拠地に稼働している。

国内は低コスト運航のためのエアーニッポン(ANK)の比重を高めている。北海道にはコミューターのエアー北海道もある。

日本エアシステム(JAS)グループ

日本エアシステムは、北海道を本拠地にしていた北日本航空、東京を本社にローカル線を運航していた富士航空、大阪を本社に西日本にネットワークをもっていた日東航空が六四年に合併し、その後、広島を中心に活動していた東亜航空を七一年に吸収してできた航空会社である。東亜国内航空の社名を八八年に変更。

日本では「水のおいた万年三位」だが、世界でみるとベスト四〇社に入るビッグエアラインになる。近年は幹線へのウェイトを高めている。

国内のローカル線は、地方公共団体との合弁で設立した日本エアコミューター(JAC、西日本地域を担当)と北海道エアシステム(HAC)に逐次移管している。他の地区でも同様の構想を立てている。国際線は子会社ハーレクィンエアに移す計画なのだが、パイロット組合から了解が取れず苦戦している。

その他

名古屋を本拠地に、五六人乗りのフォッカーF−50を使用して福島、富山、徳島など地方路線を地道に飛んでいるのが、中日本エアラインサービス。空中写真撮影、農薬散布など産業航空として活躍している中日本航空の子会社である。

新中央航空は、伊豆七島の大島、新島、神津島などと調布飛行場とを九人乗りのアイランダーで結んでいる。

そして最近注目されているのが、九州の天草エアラインだ。熊本県など地方自治体が八一%を出資し、二〇〇〇年三月から天草空港と熊本、福岡を三九席のダッシュDHC18で飛び始めたのだが、利用率が非常によく、各地のコミューター航空関係者から熱い視線を集めている。


このように、日本にはすでに二〇社を超えるエアラインが活躍し、そのうちの九社は国
際線に進出している。参入規制がなくなったことから新規社もつくれるようになり、路線
からの撤退の自由も認められたので、これからの動きは激しくなりそうだ。単に企業の規
模や輸送実績がすべてを決するのではなくなり、利用者に支持されるサービスを開発した。