判断の分かれるケースの対処法

結論としては、その上うな微妙な場合には、官僚裁判官よりも、多様な経験を持った市民の方がいくつかの点て真実究明に適していると考えられます。

第一に、裁判官は形式的論理性を貫くことに長けているだけです。限られた書証偏重の裁判は裁判を形骸化させるだけで、鋭く対立する事件の真実究明には適しません。複数の職業裁判官が合議する場合でさえ、陪審員のように比較的長い時間の議論をしないのが普通です。

これに対して陪審員なら、裁判官が考えるよりもじっくりと考えてもらえます。判断の分かれる難事件では、実質的な議論によって真実の発見に迫る陪審制の方が好ましいでしょう。

第二に、職業裁判官の目は、弁護士もそうですが、法律的な知識のためにバイアスがかかっていることかおり、素人のように素直に事実を見ないことがあります。これは一種の職業病らしく、海外で陪審裁判が導入された時の感想にもそうした指摘があります。

自分自身を反省してみても、職業法律家は、真実発見の難しさに対する謙虚さを時に忘れてしまいがちです。しかし、陪審員には稀な経験であるがゆえに、かえってそれがメリットなのです。